長年、挑戦を続けるアスリートの支援に取り組んでいる、MS&ADインシュアランスグループ。サッカー日本代表のサポーティングカンパニーでもある同社の副社長・樋口哲司が、元サッカー日本代表キャプテンの宮本恒靖さんと「挑戦」をテーマに語り合いました。
樋口
宮本さんは、2002年日韓W杯のとき、フェイスガードを付けながらケガを乗り越えて出場していたのが印象的でした。強いリーダーシップを発揮して戦われていたのが、とても頼もしかったです。ビジネスもサッカーと同じように、万全でなくとも決断と挑戦を繰り返して、ゴールを目指していきます。
宮本
そのためにも、できる限りの準備が欠かせません。ピッチに出るときは「これだけやったんだから」という気持ちで、一歩を踏み出せるように。世界と戦うためには、相手チームの研究も必要です。ありとあらゆることを想定しながら、チームで綿密な対策を立てていきます。
樋口
私も日頃から、準備が大事だと社員には伝えています。ビジネスの世界は、準備8割、実行2割と言っても過言ではありません。いつも入念なシミュレーションをして、どんな状況にも対応できるようにしています。宮本さんは代表チームのキャプテンとして、特に意識していたことはありますか？
宮本
日本代表でのプレーは、本当に名誉なことでした。試合前に、君が代が流れて掲揚されている日の丸を見上げると、特別なパワーが出ましたね。
樋口
代表チームの試合をスタジアムで観戦して、胸が震えたのをいまでも覚えています。
宮本
年代別の代表時代から、「お前たちがこれからを担っていくんだ」と言われてきて。上へ上へと志を高くもって、世界へのチャレンジを繰り返してきました。
宮本
安定したパフォーマンスを発揮するために、監督が示す戦術を、チームの誰よりも理解するように努めました。チームメイトに対しては、発言の一貫性を意識していましたね。
樋口
MS&ADグループでは、多様性を尊重して、それぞれの個性を活かすマネジメントを目指しています。インクルーシブ・リーダーシップを取り入れながら、社員と役員が活発な意見を交わし、宮本さんのようなリーダーシップを発揮できる人財の育成に力を注いでいます。
宮本
日本代表でも、多様性はとても重要ですね。当時の代表チームには、個性的なメンバーが揃っていました。その一人ひとり強烈な個性をもったメンバーが存分に力を発揮できるように、たとえ一緒に練習する時間は少なくても、キャプテンとしてコミュニケーションを大切にしていました。勝利にコミットできる一体感も重要で、選手のベクトルを合わせることが必要になってきます。2002年日韓W杯のベルギー戦では、勝ち点を掴み、そのベクトルがグッと一つの方向に向かいました。反対に、2006年ドイツW杯の初戦の敗北では、それらがバラバラになってしまいました。
樋口
ベクトルという意味でいうと、MS＆ADグループでは中期経営計画（2022-2025）で「リスクソリューションのプラットフォーマーとして、社会と共に成長する」という言葉を発信。さまざまな社会課題の解決に貢献する、という方向性を社員に示しました。
宮本
私がW杯などを経験して痛感したのは、真剣勝負の場でないと、世界との本当の差がわからないこと。相手選手とぶつかった感覚や置き去りにされたスピード感、ボールを持った瞬間にパスコースが消えた光景とか。なかでも印象に残っているのが、ブラジル代表です。上手い、速い、強い。そして、なにより賢くプレーする。あれが世界一になるチームなんでしょうね。MS&ADグループでは、世界に通用するビジネスをどのように育てていますか？
樋口
私たちは、世界トップ水準の保険金融グループを目指しています。その中で、2018年にシリコンバレーに「MS&ADベンチャーズ」を立ち上げ、現在までに約80社のスタートアップ企業に投資を行っています。現地に社員を派遣し、本場のビジネスを学んだり、社員の海外での活躍を後押しするための研修制度を設け、グローバルに活躍する人財を育成する海外派遣・社外派遣研修を実施しています。
宮本
さまざまな取り組みをされているのですね。私は29歳のときにレッドブル・ザルツブルクに海外移籍したのですが、環境を変えたことで、たくさんの発見がありました。もし、あのままJリーグにいたら、40歳まで現役でいられたかもしれません（笑）。でも、のちに海外に行かなかったことを後悔しないように、あのときは挑戦を決めました。いつまでも高みを目指すというのは大切ですね。
宮本
サポートしてくれた人たちのことは、決して忘れません。家族やチーム、ガンバのサポーターたち。みんな私の決断を理解してくれました。ザルツブルクに行く当日は、空港までサポーターのみなさんが見送りに来てくれたんですよ。あれは嬉しかったですね。その後、Jリーグに戻ってヴィッセル神戸に移籍したときも、ガンバとの試合前にサポーターのところに行くと、拍手で迎えてくれました。
樋口
スポーツに必死に取り組まれる姿は、見ているだけで心を動かされますよね。その裏側には、私たちの想像も及ばないような大変な努力があって。宮本さんのように挑戦するアスリートを、MS&ADグループはこれからも支えていきます。「挑戦を支える」というのは、未来に起こるリスクに対応する保険会社の源流でもあります。イノベーションは挑戦と失敗があるから生まれるものなので、チャレンジする人を私たちは全力でサポートし続けます。
宮本
これからもっと日本のサッカーを強くしていくためには、SAMURAI BLUEはもちろん、その下のカテゴリーから継続した強化が必要です。子どもからシニアの方まで、幅広く競技人口を増やしていくことも大切。MS&ADグループのようなパートナー企業と、どのような価値を生み出していけるのか楽しみですね。2050年のW杯優勝という目標とともに、すべての人がサッカーを楽しめる環境作りに貢献できるよう、私のこれまでの経験を活かしていきたいです。
樋口
日本代表の戦いを、心から応援しています。また、MS&ADグループのナレッジやリソースと、サッカー、スポーツの魅力を組み合わせながら、社会との共通価値の創造をこの先も進めていきたいと考えています。
宮本
力を合わせれば実現できることがたくさんあると思いますので、ぜひ一緒に、より良い未来を作っていきましょう！
挑戦するアスリートを支え、ともに前へ。
元サッカー日本代表キャプテン
JFA理事
宮本 恒靖氏
MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス
代表取締役
副社長執行役員 グループCFO
樋口 哲司
