2021/07/13
― PROFILE ―
山根 恵里奈(やまね・えりな)氏
1990年生まれ。広島県出身。元なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)のGK。 9歳からサッカーを始め、高校生の時にJFAアカデミー福島に所属。2008年と2010年にはU-20女子ワールドカップに選出される。2015年に出場した女子ワールドカップカナダでは、日本の勝利に貢献した。2014年にMS&ADグループの三井住友海上へ入社し、2017年にスペインリーグ挑戦のため退社。2019年に同社へ再入社し、現役引退とともに2020年12月に退社。現在は、ローヴァーズ株式会社で、女子サッカーの普及や千葉をサッカー王国にしたいという夢に挑戦している。
※インタビューは、2021年6月に実施しました。
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2020年12月に現役を引退し、2021年1月から新たなフィールドで挑戦を始められていますが、現在はどのようなお仕事をされていますか?
山根
はい。現在は、千葉県木更津市でサッカークラブ・スクール・人工芝サッカーフルコートをはじめ複数のスポーツ施設を運営する会社に勤務しています。メインの業務は広報と営業ですが、施設の受付・管理、事務的な仕事など幅広く担当しています。また、「房総からJリーグへ」をキャッチフレーズに活動する社会人チームのサポートも行っています。あとは、スポンサー企業とのイベントのコーディネートや、自分がイベントに出ることもあります。
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非常に幅広い業務を担当されていますね。アスリートから企業の社員として働く上で、苦労はありませんか?
山根
現役時代は、三井住友海上の千葉支店で業務をさせていただいていたので、ありがたいことに、社会人としての基本的なスキルは身についていました。また、社員として働いていたことで、会社や組織がどのように動いていくのか、仕事がどのように流れていくのかなどを経験できたことも非常に役に立っています。
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社会人としての業務経験が役に立っているのですね。
今のお仕事でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
山根
はい、選手がいきいきとしている姿をグラウンドの外で見る瞬間ですね。その瞬間に「今の会社に来て、本当に良かった」と心から感じます。
「ただ試合に勝つこと」、「常に勝って、トップを目指し続けること」だけが“勝利”ではないと思うんです。自分にとってのいろいろな“勝利”があっていい。
選手たちがそれぞれの“勝利”を目指し、明るく、元気に、そして心身が健やかに笑顔でいられるよう、自分の経験を活かして、サポートする仕事をしていきたいと考えています。
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選手たちが、「明るく、元気に、心身が健やかで、笑顔でいられる」ようにサポートしたいと思ったきかっけはありますか?
山根
スペインリーグで活動していた時に、コーチから「あなたは自分で自分を傷つけすぎている。もっと自分を大切にしなさい。」と言われました。その時は、そこまで実感できなかったのですが、ふと腹落ちした瞬間がありました。「もっと弱音を吐いていいんだ」と。
どこの世界も同じかもしれませんが、スポーツの世界では、上に行けば行くほど特有の厳しさがあります。そういう環境の中で、私自身が誰にも弱音を言えず苦しみ、勝手に自分を追い込んでいたと気が付きました。その経験から、当時の自分が欲しかった、“「大丈夫だよ」と言ってくれる存在”になりたいと思っています。
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6月13日に栃木県宇都宮市で開催された なでしこジャパン国際親善試合「MS&ADカップ2021」では、日本サッカー協会の主催のイベントに参加されていました。どのような気持ちでしたか?
山根
現役を引退後5ヶ月で、なでしこジャパンのОGとしてイベントに参加できると思っていなかったです。さらに、偶然にも、私がお世話になったMS&ADグループの特別協賛の大会ということで、正直、驚きました。
お会いできる機会がなく、しっかりと引退のご挨拶をできていない方々やファン・サポーターの皆さんもいたので、どのような感じでお会いすればいいのか少し不安な気持ちもありました。
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イベントに参加され、気持ちの変化はありましたか?
山根
はい。皆さんが、イベントに喜んで来てくださったり、楽しんでくださっている姿を見て、嬉しかったです。関係者の方々やファン・サポーターの皆さんとの交流を通じて、「選手として認めてもらえた」「ちゃんと選手をやれていたんだな」と救われた気持ちになりました。
そして、多くの方々の支えがあったから、選手を続けてこられたと実感しました。
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最後に、これからの目標を教えてください。
山根
今、携わっているクラブチームのJリーグ昇格です。選手は皆、日中は仕事のため、夜間に練習をしています。限られた時間の中で、大きな目標を達成できるよう、社会人と選手の二足のわらじを履いてきた自分の経験を活かしてサポートしていきます。
そして、千葉県を代表するチームへと成長し、多くの方に知っていただけるよう、広報活動に力を入れていきたいですね。
あとは、自分と関わるすべての人たちが、「毎日、心身健やかに、そして笑顔で過ごせる」よう、自分にできることを精一杯やっていきたいです!
山根さん、取材にご協力いただきありがとうございました。
新たなフィールドで挑戦し続ける山根さんとまた一緒にお仕事できる機会を楽しみにしています!
※インタビューは2021年6月16日にオンラインで行われました。