2018/11/13

Shiro Miyake/Number
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― PROFILE ―

 

宮本 恒靖(みやもと・つねやす)氏


1977年大阪府生まれ。10歳でサッカーを始め、ガンバ大阪ユースからトップチームに昇格。同時に同志社大学に進学してプロと学業を両立させる。2002年の日韓大会、06年のドイツ大会と二度のW杯に出場。主将、そしてディフェンスの統率役としてチームを牽引した。07年オーストリアのレッドブル・ザルツブルクへ移籍。09年ヴィッセル神戸に移籍し11年引退。12年FIFAマスターに留学し13年修了。15年から古巣のガンバ大阪で指導者の道を歩み始め、2017年からU-23チーム監督、2018年7月からはトップチーム監督に就任


※インタビューは、2018年5月に実施しました。

 

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今日は新しいコラム「歩みをとめない」シリーズの初回ゲストとして、元サッカー日本代表主将の宮本恒靖さんにお話を伺います。宮本さんというと、このコラムタイトル通り、常にいろんな事に挑戦し続けていらっしゃいますよね?どんな時も前に進んでいけるその強さの「源泉」は何だと思われますか?

 

 宮本 

自己分析です。どんな環境に置かれても自分の強みをどう活かせるか考えますし、逆に自分に足りないところを何か考え、それを補っていく。常に客観的に自分を見る事が必要だと思います。

 

――

それを実践していく上で、いつも心がけている事はありますか?

 

 宮本 

向上心です。現状に満足せず、常に向上心を持ち続けること。いつも、その先に何があるか知りたいという好奇心も必要かな。あとは、嫌な事はすぐに忘れること(笑)

 

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それ、大事です!でも、モチベーションを保ち続ける事って結構大変な事ですよね?宮本さんはどうやって向上心を持ち続けるようにしていますか?

 

 宮本 

変化がないとつまらないですよ。面白くないというか。人と違うことをやったら面白いだろうなと。人が無理だと思っていることに挑戦する方が何倍も価値がありますよね。高校を卒業する時に、サッカーと大学生活の両立をすることに対して、「無理だ」と否定的な意見が大半でした。でもやってみたら出来た。人が無理と思っても、自分がやろうと思えば出来るし、自分は無理だと思っていたことを他の人がやり遂げると、それは素晴らしいと思える。もちろん、いろんな失敗もしてきたし、挫折もありました。でも、その原因も考えて、その失敗から何を学び、次にどう活かしていくかが大事ですね。

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――

今度は話題を変えて、リーダーシップについて伺います。宮本さんご自身、どんなリーダーを目指していますか?前を走って先導するタイプ?もしくは後ろから支えて背中を押すタイプ?

 

 宮本 

その時に応じて、スタイルを使い分けることが出来るといいですね。いろんなシーンで、その時、彼らに必要な形のリーダーシップが発揮できるのが理想です。そのためには、日ごろから観察力を磨く事が大事だと思っています。個々の選手もそうですし、ミーティングルームに入った時の雰囲気とか、空気を読むことも時には大切です。

 

――

常に周りの空気を読んで、その場にあったリーダーシップを発揮する・・それは大変ですね。

 

 宮本 

敢えて空気を読まないという選択もあると思います。あまりにも周りに気を遣い過ぎて、言いたいことが言えなくなるのは良くないですね。状況に応じて、スタイルを使い分けることが出来たらよいとは思いますが、まだまだ難しいです。今まで、さまざまな機会を通じて、所属チームや日本代表の監督、FIFAマスター留学の際に出会った講師の方々など、いろんな指導者を見てきました。そうした一つひとつの経験は「点」でしかありませんが、それを「線」で繋げていきたい。そうすることで指導者としての深みがでてくるのではないかと思っています。

 

――

今度は「ダイバーシティ&インクルージョン」について伺います。国内外でのサッカーチームで活躍されていた宮本さんからみて、多様性を強みに活かすためにはどうすれば良いと思いますか?

 

 宮本 

多様性を活かすためには、まず「何故それが必要か」と「どのように活かすのか」がないと難しいですね。ただ単に多様性が必要と言われても、それだけだと日々活用していくのは難しいです。先日、イギリスの発達障害の青年を取り上げたテレビ番組を見る機会がありました。彼は通常の業務をこなすのは苦手だったのですが、後に非常に複雑なスタッフのシフトを組み立てるのが得意だという事が判明し、現在ではその能力を活かして会社に貢献しているという話でした。誰もが自分の得意分野があるんだという事ですよね。同じことはサッカーでもあります。求められたポジションではなかなか良いパフォーマンスを発揮できないで苦しむ選手がいます。でも、どこかにハマる場所があるはずだと、もがいてもがいて、ここだ!っていうところが見つかった選手もいます。何事も諦めないことですね。その選手の良さを活かすことができるポジションがどこかにあるはずです。監督としてそれを見極めるのも大事な仕事です。人間はいろんな可能性を秘めていることを知るべきです。サッカー選手も指導者も。それは企業でも同じことが言えますよね?それが多様性の強みではないでしょうか。

 

――

誰でも得意分野がある。それが多様性の強みになる。大変貴重なアドバイスありがとうございました。