2024/11/12
― PROFILE ―
廣原 啓二(ひろはら けいじ)氏
1961年、茨城県出身。2003年、女子チームの東小沢FCバンビーナを創設し、現在も監督を務める。2018年から茨城県サッカー協会(IFA)女子委員長(それ以前は副委員長、少女部会長)、2021年から女子サッカー普及コーディネーターを兼務している。定年退職した現在も日立市役所にて職員(再雇用)として勤務を続けている。
※インタビューは2024年10月に行いました。
―― 茨城県サッカー協会(IFA)女子委員長として、県下の女子サッカー普及に取り組まれてきましたが、どのような課題があるのでしょうか?
廣原
茨城県サッカー協会(IFA)女子委員長として、年代別のリーグ戦や年間を通じた試合環境の整備はもちろん、他県との交流を注力してやってきました。しかし現在、茨城県に女子チームは30弱ほどしかありません。県内の女子サッカーの選手数は現状維持を保っていますが、中学年代のチームは増えておらず、減少傾向にあります。小学生年代は女子の選手も多くいるのですが、中学年代以降は女子だけのチームの受け皿がなく、指導者も含めて関わる大人の人数も乏しいのが現状です。同じスタッフが掛け持ちで続けている状態で、若い年代の指導者への継承も課題となっています。
―― 価値共創事業「JFAxMS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」の茨城県開催に手を挙げられたきっかけは何だったのでしょうか?
廣原
JFAでは、大会や公式戦に出場する環境にない中学校女子選手に、サッカーを通じて仲間をつくる機会を創出する『中学校女子サッカー部フェスティバル』を全国各地で開催してきました。昨年は隣の栃木県で開催され、私も参加・協力させていただき、「こういったイベントをぜひ茨城県でやりたい!」と思っていったところ、今年から始動するJFAとMS&ADインシュアランスグループの価値共創事業「JFAxMS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」の話を伺い、声を挙げさせていただきました。
プロジェクトの立ち上げに合わせて、この茨城県で11月17日に部活動改革に関する全国の取組みとその課題や解決策について情報を発信する「JFAxMS&AD 地域スポーツ改革カンファレンス」と、中学校女子選手を対象とした合同練習・交流試合「JFA×MS&AD なでしこ”つぼみ”フィールド(以下、なでしこ”つぼみ”フィールド)」が開催されることになりました。女子選手同士が交流できる場をどうしても実現したいとの思いで活動を続けてきたので、こうしてIFAフットボールセンター(茨城県水戸市)での開催が実現できたことに、心より感謝しています。
―― 茨城県でのイベント開催をきっかけに「人を巻き込む大きな力」になっているそうですね。
廣原
今まさに本番に向けて練習会を行っていますが、みんなすごく楽しそうです。今回のなでしこ”つぼみ”フィールドは、男子に混じってサッカーをする子に、女子だけでサッカーをする環境を経験してもらい、高校までサッカーを継続してもらうことを目的としています。こういった場に来ること自体勇気がいることですが、知らない子たちでもボールを蹴るとすぐ仲間になって、チームとして活動することができるのが女子選手の特徴でもあると思います。練習会で対応するスタッフ6人はすべて女性で、その内3人は県内出身者です。小学生の頃から県内のトレセン、ガールズリーグでプレーしてきた顔なじみのメンバーで、県外で活動した後にまた指導者として戻ってきてくれています。地元の選手たちが茨城県の女子サッカー普及、技術の向上に関わってくれるのは嬉しいですね。大きなフェスティバルは選手普及の効果はもちろん、関わる人を巻き込んでいく力があります。県内のトレセン時代からの顔なじみの子たちなので、私たちのこともわかっているし、地元愛もある。なでしこ”つぼみ”フィールドに参加してもらう選手には、なでしこジャパンの選手になりたいという大きな夢を抱いてもらいながら、こうやって大人になっても指導者として関わってもらう選択肢があることを伝えられればと思っています。
―― 「なでしこ”つぼみ”フィールド」開催への期待を教えてください。
廣原
今回は、ゲストに佐々木則夫さん(公益財団法人日本サッカー協会 女子委員長)をはじめ、川上直子さん、小林弥生さん、矢野喬子さん、宮間あやさん、鮫島彩さん、阪口夢穂さん(元なでしこジャパン(日本女子代表))等に参加いただくので、非常に大きなインパクトになると思っています。あれだけのメンバーはなかなか集まらないですからね。以前、JFA主催イベントで澤穂希さん、海堀あゆみさんが茨城にいらっしゃいましたが、それはもう大盛況でした。今回のJFAxMS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクトが成功に終わり、11月17日の貴重な時間を“継続”へとつなげていきたいですね。
―― 最後に今後の目標を教えてください。
廣原
IFA理事の定年65歳まであと2年です。女子サッカーの各カテゴリーにおいて可能性があることにはすべて取り組みたいと思っています。その上できちんと事業化して、後進に託せるようにしていきたいと思います。そう考えると時間はほとんどないですから、立ち止まってはいられませんね(笑)。
※スポーツキッズ子育て応援メディア 「サカママ」 https://soccermama.jp/node/4991