2021/11/30
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- 写真提供：JFA
― PROFILE ―
広瀬 統一（ひろせ・のりかず）氏
1974年生、兵庫県出身。東京ヴェルディ 育成チームフィジカルコーチ、早稲田大学スポーツ科学技術院客員講師を経て、2008年から2021年9月までなでしこジャパン（サッカー日本女子代表）のフィジカルコーチを務める。多くのJリーグクラブのフィジカルコーチを歴任し、なでしこジャパンフィジカルコーチとして、約13年間、世界トップレベルのチームづくりへ貢献。現在は、早稲田大学スポーツ科学学術院 教授、日本サッカー協会 フィジカルフィットネスプロジェクト メンバーとして活躍。
世界トップレベルのチームを支えるフィジカルコーチとしての経験や研究者としての知見を活かし、TVの出演や著書「大人女子の体幹レッスン」の執筆など、多方面で活動している。
※インタビューは2021年11月に行ないました。
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2008年からの約13年間、なでしこジャパンのフィジカルコーチとして、選手や監督、チームを支える方々と共に世界トップレベルの戦いに挑まれてきました。さまざまな環境下で、チーム・選手のベストなコンディションを作るために大切にしてきたことは？
広瀬
サッカー、選手に対して、真摯かつ誠実に向き合うことです。サポートスタッフとして選手のコンディションをベストな状態にし、チームの力を最大化するため、選手をよく知り、対話し、観察することを意識してきました。今でも100%完璧にできたとは思っていませんが、常に選手の“いいところ”を探し続け、選手自身も気づいていない“いいところ”を発見できるように務めていました。
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日本代表チームは、招集メンバー全員でトレーニングできる期間が限られていますが、選手をより深く知るために取り組まれていることは？
広瀬
“いいところ”は人によって異なるので、固定観念をなくし、常にオープンマインドでいることを心がけていますね。各選手の弱みや課題を強化することも大切ですが、それ以上に“いいところ”を圧倒的に伸ばさなければ、世界トップレベルで活躍するのは難しいです。あとは、代表メンバーとしてのトレーニング以外に、日頃からさまざまな場所・チームで活躍している選手たちの試合を見ています。
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ビジネスの世界に通じるものがありますね。世界トップレベルの厳しい環境下で戦い続けるチーム・選手を作るために取り組まれたイノベーションは？
広瀬
“イノベーション”を既存の要素を新しく結びつけることで、新しいモノを産み出すとすると、特別なことはしていません。なでしこジャパンには、選手たち、サポートスタッフなど、既に“いいモノ”がたくさんあります。ただし、その全てが共通認識の下で動いていないと、単なる足し算で終わり、シナジーが生れません。私一人でやれることは限られています。さまざまなスタッフと連携して、選手たちに働きかけることで、チーム全体にプラスの影響が出るように取り組んできました。
―― 特別なことはしていないとのことですが、世界トップレベルのチームを相手に結果を出し続けるために、厳しい局面もあったと思います。どんな時も歩みを止めずに前に進み続けられた原動力は何でしょうか？
広瀬
何よりもサッカー、なでしこジャパン、そして選手一人ひとりが好きです。その“好き”という気持ちが原動力ですね。
私の仕事は、「人を活かして自分が活きる仕事」です。選手がイキイキしている時や、選手が望む結果が出た時にやりがいを感じます。また、目の前で、高い志を持ってプレーをしている選手の姿を見ていると、自分が歩みを止めるわけにはいかないですよね。
―― なでしこジャパン、選手一人ひとりへの想いが伝わってきますね。最後に、今後、挑戦したいことを教えてください。
広瀬
新しいテクノロジーとスポーツを組み合わせて、社会課題を解決していく取組をしていきたいです。なでしこジャパンのフィジカルコーチとしての経験、さまざまな分野の研究者の方たちの知見を“教育”に活用する、例えばスポーツ界のgender equity（ジェンダー平等）や子どもの健全な育成サポートなどでしょうか。2022年1月には、「日本の未来とスポーツ」をテーマに、国内外の方とカンファレンスを開催します。今後は、スポーツを通じて、日本社会がより豊かになるような活動をしていきたいですね。
広瀬さん、オープンマインドでたくさんの質問に真摯に回答いただきありがとうございました！
＜主な著書＞
・「がんこな疲れがとれる！ ３分 ほぐ筋ストレッチ」（学研プラス）
・「大人女子の体幹ストレッチ もう二度と太らない体になる」（学研プラス） など
